理科実験,科学実験,サイエンスショー,体験,講座,子供,学生

後藤道夫先生 | 南信州飯田おもしろ科学工房

理科実験,科学実験,サイエンスショー,体験,講座,子供,学生
後藤道夫先生の紹介
フロンティア
後藤先生 フロンティア

後藤道夫先生が2004年4月から2006年3月まで、信濃毎日新聞 科学面「フロンティア」に寄稿された記事を掲載しています。
そこには科学教育に対する後藤道夫先生の切々たる思いがこめられています。ぜひご一読ください。


科学嫌いな子供はいない
信濃毎日新聞 2006/03/20掲載



1999年、飯田市教育委員会は市の科学教育ボランティア「おもしろ科学工房」とともに
「巡回科学実験教室」という出前授業を始めた。
対象は飯田市及び下伊那郡の小中学校で、25種類の実験メニューから好きな実験を選んで
「理科」や「総合学習」、「選択理科」などの時間に出前授業を行う。

今年で8年目に入ったが、この7年間に730教室を巡回した。
学校の理科の時間ではなかなかできない内容で、科学の不思議さ、面白さ、美しさをそれぞれ生徒が体験する。
授業で使用する実験器具は、クラスの人数分の工作キットも含めてコンテナに収納され
市内の小学校の空き教室に保管されている。
これらを前日に巡回する学校に運び、当日はスタッフ数名が交替で学校に言って実験を行う。

私は講師として参加し、730回すべての実験を行った。
飯田市から30キロもはなれた山の中の学校では子どもと先生が6人ずつというところもあれば
300人の全校生徒を体育館に集めてサイエンスショーを行うところもあった。

ところで、これだけ多くの学校、多くのクラスに出前授業をして思うことは
子どもたちの誰一人として理科の嫌いな者はいないということである。
どこの学校でも期待に満ちてわれわれを待ち望み、科学を心から楽しんでいる。
その様子を見るとつくづく、教育委員会、学校、地域社会が一体となって科学教育に取り組む必要性を感じる。

しかし、残念なことに中学校は部活動のほとんどが体育系で、科学系は顧みられず、減少の一途をたどっている。
出前授業の要望もいたって少ない。
どこの学校にも必ず数人はいるであろう科学好きの生徒たちは、放置されたままである。

従って、今年のわれわれの目標は、出前授業の更なる充実と、科学実験と工作の好きな生徒に研究の場を提供することである。
自分の好きなテーマを研究できる「理科実験教室」を「かざこし子どもの森公園」につくり
県内すべての中学生に開放したいと考えている。
学校も家庭も真剣に子どもたちの個性を見つめ、われわれとともにそれを伸ばす努力をしてほしいと心から思う。

※ この記事は信濃毎日新聞社様のご協力をいただいて掲載しています。

好奇心とやる気を伸ばすには
信濃毎日新聞 2006/01/30掲載



4年前、小学校六年生だった北林君、矢野君、北原君の三人は、当時飯田市にできた「かざこし子どもの森公園」の理科実験ミュージアムで、毎週土・日曜日に開かれる実験教室のリピーターであった。
彼らは東中学で科学部に所属し、それぞれの研究を進めてきた。その三人が今春、卒業する。

彼らは市の科学教育ボランティア「おもしろ科学工房」のスタッフにもなり
ミュージアムで小学生の実験指導をした。
そのかたわら、彼らが「宝の山」と呼んだミュージアムの実験室で、自分たちの研究テーマに沿って実験を進めてきたのである。

実験室には必要な材料や工作用の工具、測定器がそろっており、それらを自由に使うことができた。
また、オシロスコープやストロボスコープなどの使用法を教え、部品の製作を手伝ってくれる企業の技術者や元電気科の教師といったスタッフがいた。

この3年間に彼ら三人を中心とした東中科学部は「親子傘太陽炉の研究」、「電磁誘導式風力発電機の研究」、「ロボットの研究」、「伊那谷の花こう岩に含まれる放射性鉱物の研究」などを行い、二度にわたって県知事賞を受賞した。

大小二個の傘を組み合わせてミラーを張ったこの太陽炉は20分でゆで卵を作ることができた。
また、風力で回転する自動車の車輪に埋め込まれた三十個の強力ネオジム磁石により
コイルに誘導電流を発生させる斬新なアイデアの風力発電機の製作や、古いテレビや複写機を分解して
偏向コイルやX・Y軸移動装置を取り出してロボットを作り
また今まで未知とされていた伊那谷の花こう岩の中に含まれる微小の放射性鉱物を取り出し
霧箱で白い直線状に飛ぶ放射線の飛跡を撮影することに成功したのである。

中学生の好奇心とやる気を伸ばすために、地域社会が学校と協力することが以下に大切かを示す実例として
広く知らしめたいとわたしは思っている。
飯田市教育委員会はこうした「ものづくりと人づくり」を地育力の向上というモットーの下に強力に推進しつつある。

※ この記事は信濃毎日新聞社様のご協力をいただいて掲載しています。

ペンシルロケット、打ち上げよう
信濃毎日新聞 2005/12/05掲載



小・中学生にロケットの科学的原理を理解させ、宇宙への夢を持たせるには、一人一人が自作でき
各人が点火し、皆でカウントダウンする中
100メートルも高く飛ぶ小型のペンシル型モデルロケットの打ち上げが最適であろう。

米国では60年も前から、学校や地域社会でこうしたモデルロケットが打ち上げられている。
一人の落ちこぼれ高校生がロケット作りに夢中になり
ついにはNASAのロケットエンジニアになったという事実も、小説「ロケットボーイズ」や映画「遠い空の向こうに」で日本にも紹介されている。

日本では20年ほど前からマニアがモデルロケットを使ったロケットを打ち上げているが
学校教育として定期的に打ち上げている学校はない。
それは米国製のロケットのキットを組み立てるだけなので高価であり、またなんらの創造性を発揮する場もないことが原因であろう。

そこでわれわれは一工夫した。
安全のためにエンジンだけは固体燃料の小型のA型ロケットエンジンを米国から購入するが、ロケット本体はカレンダーの厚紙をまいて作る。
先のとがったノーズコーンはフィルムケースを利用し、飛行の安定を保つ底部の三枚羽フィンは工作用紙にした。
そして30人のクラス全員が各自工夫をこらした大小さまざまなロケットを作り
「おもしろ科学工房」が製作した、ロケット10本が連発できる装置で発射。
一時間で製作から全員の打ち上げ終了まで可能になった。

 

ポリ袋でパラシュートを作ってロケットに入れ、各人カウントダウンに合わせてスイッチを入れる。
発射音とともに、真上に100メートルも飛び上がってパラシュートで落下する自分のロケットを追う子どもたちの歓声は心地よい。

飯田市と下伊那郡の学校では、すでにこの七年間で4000人余の子どもたちがロケットを打ち上げている。
飯田市教育委員会がロケットエンジンの費用を負担し、学校側の費用負担はほとんどない。
日本でも毛利衛さんや向井千秋さんなど、多くの人々が宇宙体験をしているが、学校での科学教育でも、長野県全域でぜひ取り入れてほしい実験である。

50年前、故糸川英夫博士によって日本で初めて打ち上げられた小さなペンシルロケット―――。
それと変わらぬ性能を持つ、この小型で安全なロケットの製作と打ち上げによる感動を、一人でも多くの子どもたちに体験させたいものである。

※ この記事は信濃毎日新聞社様のご協力をいただいて掲載しています。

創造性伸ばす、地域社会の熱意
信濃毎日新聞 2005/10/24掲載



JR富山駅にある北陸電力科学館「ワンダーラボ」を、私は毎年春と夏の二回訪れる。
実験の指導と、発表コンクールの審査をしているが、ここほど子どもたちが毎日伸び伸びと研究に励み、楽しく実験をしている科学館は少ない。

館内にはエジソンの発明品の展示などもあるが、この館の特徴は、館内を子どもたちの研究のために開放していることである。
付近の小・中・高校生は夏休み中、毎日ここに来て、自分の研究テーマに取り組む。
例えば「ドライアイスの研究」なら、液体窒素やドライアイス、水素や酸素ボンベといった必要な材料を自由に使える。
館の数人のスタッフと富山大学のボランティアの学生が指導に当たり、必要なアドバイスをしてくれる。

それぞれの研究の結果は夏休み中に発表する。
各人が実験ブースを作り、二時間ほどデモ実験をして成果を報告するのだ。こうした研究方法と発表は定着し、小学生時代から通っていたという高校生が現在でもそこで活動を続けている。
彼らの研究態度や成果の発表の素晴らしさは、学年が上になるに従って目を見張るものになっていく。

一人一人の子どもたちの創造性が存分に伸ばせる環境がここにある。
実験し、失敗し、考察し、文献を調べ、スタッフの助言を求め、時間の制限もなく、のびのびと実験を楽しみながら過ごす。
この施設は彼らにとってはまさに宝の山である。
わたしは毎年その発表を見て、生徒たちの自信に満ちた姿に驚く。
ノーベル賞を受けた島津製作所の田中耕一さんもこの地で育ったというが、彼に続く科学者も、こうした地域社会の科学研究に対する熱意から生まれるのではないだろうか。

今年5月に同館で「理科の大運動会」として50種類の面白い実験が展示された。
われわれ「おもしろ科学工房」のスタッフ10人もマイクロバスで六時間かけて富山に行き、そのイベントに参加し、研修してきた。
飯田の「おもしろ科学工房」にいるスタッフが連日「巡回科学実験教室」や「理科実験ミュージアム」を展開しているのも
将来「ワンダーラボ」に負けない、子どもの創造性を伸ばす科学館を飯田に作るための準備といえよう。


※ この記事は信濃毎日新聞社様のご協力をいただいて掲載しています。


母親のパワーで広がれ科学教育
信濃毎日新聞 2005/09/05掲載 



今年、飯田市及び下伊那郡の小・中学校を回る「巡回科学実験教室」は7年目に入った。
これは飯田市教育委員会が組織した自主的な科学教育ボランティア「おもしろ科学工房」の活動で、メンバーは現在45人。
その半数は主婦で、ほかに現役やリタイアした学校教諭、市職員、企業のぎ術者、学生などがいる。

学校の「理科」や「総合学習」の一環として位置付けられ、ふだんの授業ではなかなかできない大掛かりな面白い実験や不思議な実験を一人一人の生徒が体験し工作できるようになっている。
飯田市教育委員会によれば、昨年までの六年間で教室は643回開かれ、延べ2万9200人が参加した。

月曜日から金曜日まで、スタッフは交代で学校に行き、準備し、実験する。これまで一度の欠講も事故もない。
それは教育委員会、学校、家庭、地域社会が一体となって、子どもの教育の大切さを理解し
心を一つにして当たっているからだと思う。

また「かざこし子どもの森公園」で毎週土・日曜日に行われる「理科実験ミュージアム」の親子実験教室も
過去三年間で2万人余もの親子が実験に参加し、中には40回以上も訪れる方もいる。
今年も夏休み特集として「カメラを作り、撮影・現像しよう」というテーマで実験を行った。
自作のカメラで撮影、現像し、写真ができたときの子どもたちの感動する様子を見るのは、われわれスタッフにとっても喜びである。



このように連日学校の授業や公園での親子教室を行っていることは
地域社会に深く根づいた教育活動として、全国的にもかなり珍しい取り組みと言える。
こうした活動を子どもたちのために、長野県全域、さらには日本全国に広めたいと私は願っている。

この活動を支えている大きな力は、40代の母親たちである。
計画、実験準備、後片付け、物品の補充など実に的確にこなしてくれる、そのパワーには驚くほかない。
誰もが進んで困難な仕事を引き受け、いつもにこやかに、生徒たちの中に溶け込んで指導する。
数十種類の実験にも精通し、講師とともに、数十キロ離れた山の中の学校にも必ず何人か駆けつける。

母親を中心としたスタッフたちの力の源は、子どもたちへの深い愛情である。
おそらくそれは、飯田下伊那地方にしかないものではあるまい。
とすれば、私の願いは決して実現不可能な夢物語ではないはずである。


※ この記事は信濃毎日新聞社様のご協力をいただいて掲載しています

若い母の思い、希望を感じる
信濃毎日新聞 2005/07/18掲載



飯田市かざこし子どもの森公園でわれわれが行っている「理科実験ミュージアム」に
何と通算36回も参加して、子どもと一緒に実験を楽しんでいる若い母親がいる。
先日、彼女からの感想文を拝読し、その教育に対する識見の深さに感動した。

小学校二年生と幼稚園の年中の男の子がいるという彼女の感想文にはこうあった。
「子どもたちが『理科実験ミュージアム』が大好きで、毎週のように通っています。
いつも、今日は何をやるのかな、と親子で楽しみにしています。
『虹をつくろう』というテーマの実験では、雨粒と光の屈折についてのお話しがありましたが、子どもたちは虹をつくることに夢中。
しかし、先生は『それでいいんですよ。体験することが大事なんです』とおっしゃいました。
私もいつか子どもたちが学校で学ぶときに、ここでつくった虹のことを思い出せばきっと科学が好きになるかも、と期待しています。
(中略)こんな機会を与えてもらい、幸せに思います。本当にたのしいです」

自分の手や頭を使って物を作ることが子どもにとっていかに楽しく、その子自身の創造性を伸ばすために大切なことか−。
心理学、教育学などさまざまな場面で強調されるところである。
にもかかわらず今の世の中はどうだろう。

テレビやゲームに何時間も漬かり、読書は少なく、食事も睡眠も不規則で、学校や学習塾で暗記学習を強いられ…という子どもたちは少なくない。
揚げ句の果てに善悪の見境がなくなるほど「キレル」ケースも増えている。
また、子どもの教育にとって有用な場所が近くにあっても、それを利用することすら考えない親たちも多い。

おそらくモノや情報があふれる時代にあってそれぞれに忙しく、本当に大切な物事が分かりづらくなっているからなのだろう。
そう考えれば非難ばかりはできないが、それでも「いまどきのライフスタイルだから」と割り切れる問題ではないはずである。

だからこそ、感受性が強い時期の子どもたちに「何が必要か」を的確に理解し
それを実行して何度も何度も実験に参加するこの母親の姿は、われわれの目には何とも力強く映る。
決して大げさにではなく、日本の将来に希望を感じさせてくれるのである。


※ この記事は信濃毎日新聞社様のご協力をいただいて掲載しています。

子供の興味 伸ばしてあげたい
信濃毎日新聞 2005/05/23掲載



飯田市の「かざこし子どもの森公園」で、毎週土・日曜日に行われている理科実験ミュージアムのワークショップを運営する
40人のボランティア「おもしろ科学工房」に、一昨年から三人の中学生が加わっている。
飯田東中学校科学部の生徒たちで、三人とも、小学生の時からこのワークショップに何度も参加するリピーターだった。

彼らは中学生になった機会に、今度は小学生の実験を助けるボランティアスタッフとなったのである。
ワークショップのメニューは現在50種類ほどあるが、三人ともその多くの実験をマスターし
更に各自のテーマを決めて、実験室の中にある器財を自由に使い、付属の図書室の実験所を読みながら
次々と新しい実験に取り組んでいる。

先日、テレビの取材に対して、彼らはここを「宝の山」と言っていた。
その言葉から、科学に対する興味と探求心のほどをうかがい知れた。

われわれ大人のスタッフが見守る中、三人の中学生はそれぞれの個性を伸ばし、すばらしい創造性を発揮している。
今となっては「おもしろ科学工房」に欠かせないスタッフだ。
三人はそれぞれ将来、技術者、ロボット研究者、地質学者を目指しているという。

しかし大変残念なことに、現状は受験のために、中学三年生ともなると、部活動も制限され
好きな実験に取り組むことができなくなる。
彼らにせっかく芽生えた、科学の面白さを究めるチャンスが中断されてしまうのだ。

全国的にみても、中学校の科学倶楽部は運動クラブに比べて極端に少ない。
科学の好きな生徒たちはどこの学校にも必ずいるはずなのだが、これもまた残念なことに、そんな生徒たちへの適切な指導はなされないまま放置されている。

われわれ大人の責任は、こうした生徒たちが自由に研究できる場(=「宝の山」)を与えることではないだろうか。
また学校には、そんな「宝の山」が飯田市の「かざこし子どもの森」にあることを生徒たちに知らせ、利用をすすめてほしい。
われわれスタッフは、喜んで実験室を開放し、科学の魅力を感じ始めた若者たちの研究を助けるために、常に待機している。


※ この記事は信濃毎日新聞社様のご協力をいただいて掲載しています。

住民一体与論島の理科実験
信濃毎日新聞 2005/04/11掲載

 

1月中旬から下旬にかけて、沖縄・奄美への旅に出た。
そして転々と並ぶ小さい島々、石垣島、与論島、沖永良部島、徳之島、奄美大島などの小、中学校、幼稚園、養護学校などを訪問し、「理科実験教室」やサイエンスショーを行ってきた。
寒い信州から暖かい南の島に来ると、まさに別世界の感があった。

実験内容は、飯田での「巡回科学実験教室」でよく取り上げられる水ロケット
風船ロケット、ブーメラン、ゴム風船のサッカーボール、ストロー笛や科学手品など。
どの島の子どもたちも初めて体験する実験なので、夢中で取り組み、歓声を上げて
体育館を駆け回り、校庭で空高く飛ぶ水ロケットを打ち上げていた。

とりわけ、4日間滞在した与論島の印象が深い。
島の周囲は約26キロ、半径4キロの円の中にすっぽりと入ってしまうほどの小さい島で
中央の展望台に立つと島全体を見渡すことができ、エメラルド色の美しい海とさんご礁、そして白い砂浜が続いている。
人口は約5000人で、小学校が3校、中学校が1校ある。私はそれらの学校を訪ねた。

私が与論島に強い魅力を感じるのは、島が美しいだけではない。
すべての人々がこの島を心から愛しているからである。
それは小学生たちが歌う「ハミンジャイ・ユンヌ(愛しているよ、僕らのヨロンを)」という歌に象徴されている。
ここでは町の教育委員会や学校、家庭、地域社会といった大人たちみんあが一体となって子どもの教育にあたっているのである。
その姿勢に感動した。私が訪ねたどの学校でも、子どもたちと先生が一緒になって理科実験に取り組んでいた。

私の実験は、一人一人の子どもたちに科学の不思議さ、美しさ、楽しさを体験させることを目的にしている。

与論島のすばらしい教育環境の中、私の思いが届いたのを感じた。
驚いたことに、各校の児童・生徒全員から感想文が寄せられたのである。

「理科実験はとても楽しかった。来年もぜひ来てほしい」という強い希望が、先生からも子どもたちからもあった。
来年も与論島で子どもたちと楽しい実験ができることを祈っている。


※ この記事は信濃毎日新聞社様のご協力をいただいて掲載しています。

生徒が自由に研究できる場を
信濃毎日新聞 2005/02/21掲載



飯田市の「かざこし子どもの森公園」で、毎週土・日曜日に行われている理科実験ミュージアムのワークショップを運営する
40人のボランティア「おもしろ科学工房」に、一昨年から3人の中学生が加わっている。
飯田東中学校科学部の生徒たちで、3人とも、小学生の時からこのワークショップに何度も参加するリピーターだった。

彼らは中学生になった機会に、今度は小学生の実験を助けるボランティアスタッフとなったのである。
ワークショップのメニューは現在50種類ほどあるが、3人ともその多くの実験をマスターし
更に各自のテーマを決めて、実験室の中にある器財を自由に使い
付属の図書室の実験所を読みながら、次々と新しい実験に取り組んでいる。

先日、テレビの取材に対して、彼らはここを「宝の山」と言っていた。
その言葉から、科学に対する興味と探求心のほどをうかがい知れた。

われわれ大人のスタッフが見守る中、3人の中学生はそれぞれの個性を伸ばし、すばらしい創造性を発揮している。
今となっては「おもしろ科学工房」に欠かせないスタッフだ。
3人はそれぞれ将来、技術者、ロボット研究者、地質学者を目指しているという。

しかし大変残念なことに、現状は受験のために、中学3年生ともなると、部活動も制限され
好きな実験に取り組むことができなくなる。
彼らにせっかく芽生えた、科学の面白さを究めるチャンスが中断されてしまうのだ。

全国的にみても、中学校の科学倶楽部は運動クラブに比べて極端に少ない。
科学の好きな生徒たちはどこの学校にも必ずいるはずなのだが、これもまた残念なことに
そんな生徒たちへの適切な指導はなされないまま放置されている。

われわれ大人の責任は、こうした生徒たちが自由に研究できる場(=「宝の山」)を与えることではないだろうか。

また学校には、そんな「宝の山」が飯田市の「かざこし子どもの森」にあることを生徒たちに知らせ、利用をすすめてほしい。
われわれスタッフは、喜んで実験室を開放し、科学の魅力を感じ始めた若者たちの研究を助けるために、常に待機している。


※ この記事は信濃毎日新聞社様のご協力をいただいて掲載しています。


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